高田明和「責めず、比べず、思い出さず」

高田明和「責めず、比べず、思い出さず」
日曜日の昼下がり。子供絡みの用事の合間、僅かに出来た時間を埋める一冊として高田明和の「責めず、比べず、思い出さず」を読んだ。浜松医科大学名誉教授であり禅に対する造詣が深い著者が自らの経験をもとに禅と大脳生理学から苦しまない生き方を学ぶという本。正味1時間半ほどで読了。

ま、一般受けするためにはこんなものでしょう。肝心の禅に対しても大脳生理学に対しても突っ込み不足で物足りない。聞こえの良い禅の「名言」を並べて物知りになった気にさせるのはよくある戯言集に近い。中村元の「自己の探求」を読んだ後では流動食の如しで、自問を強いるような読後感は無い。

 「一寸の線香 一寸の仏」(一休禅師)

真摯に内省を志す向きには毒にも薬にもならないだろうが、興味の入口としてはマル。まあ、私はこのポジティブ過ぎる有難い言葉より、似て非なる「五十歩と百歩はちがう」という言葉(これは禅ではなく開高健の小説から拾った言葉)の方が好きで日々噛み締めています。


タグ :読書仏教

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