6月26日は世界格闘技の日

今朝の新聞でボクシング元世界ヘビー級王者ムハマド・アリ氏の死去を知った。
6月26日は世界格闘技の日
6月26日は世界格闘技の日
日経新聞のスポーツ面(上)と静岡新聞の社会面(下)。両紙ともに一面や社会面でも報じていて海外のスポーツ選手の死去の記事にしては比較的大きな扱い。

有名な「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の言葉がお決まりのように紙面に出ているが、その名文句を含めアリの言葉は英語の原文の方がカッコいい。

 Float like a butterfly,
 Sting like a bee.
 Your hands can't hit.
 What your eyes can't see.

まさしくポエム。さらに1975年に「ゴリラ」と呼ばれていたジョー・フレイジャーとフィリピンで対戦する直前にはこう言っている。

 It'll be a Killer,
 And a Chiller,
 And a Thriller,
 When I get the Gorilla,
 In Manila.

キラー、チラー、スリラー、ゴリラ、マニラとキレイに踏んでいる韻。まさしくライム。アリは有名になってからエンターテインメントを意識して言っていたのではない。12歳のアリ少年が初めての対戦に臨むにあたって残した言葉。

 This guy is done,
 I'll stop him in one.

この時既にdoneとoneで韻を踏んだ「アリ・ラップ」なっている!アリこそがラップの元祖であり天性の詩人なのです。



そんなアリの死去の記事を見て、日本記念日協会(そんなのがあったんだ・・)が今年から6月26日を「世界格闘技の日」とすると制定したとの記事を数週間前に見たことを思い出した。

 伝説の猪木VSアリ戦に決着はない 40年の節目に「世界格闘技の日」
 (2016年5月28日産経ニュースより)

6月26日というのは、もちろん1976年の同日にアントニオ猪木とムハマド・アリによる異種格闘技戦「格闘技世界一決定戦」が行われたことに由来する。以後のプロレスや総合格闘技に多大な影響を与え、いかにも想像力を掻き立てるミステリアスな一戦だったが、そこから40年の節目に制定された。



そういえばと、本棚からこの本を取り出し、久し振りにページをめくった。
6月26日は世界格闘技の日
柳澤健の「完本 1976年のアントニオ猪木」。1976年にアントニオ猪木はミュンヘン五輪柔道無差別級金メダリストであるウィリエム・ルスカ戦やムハマド・アリ戦を含めた特異な4試合を戦った。別種のプロレスであったルスカ戦を除く3試合はリアルファイトだった。そして以後の日本のプロレスは変わった。猪木はプロレスをどう変えたのか、猪木とは何か、プロレスとは何か、それを問う。というこの本は非常に面白いので興味のある方は是非ご一読を。

といってもこの本が書かれた当時(初出は2002年)と現在とでは日本のプロレスの様相は変わっている。柳澤は1976年のアントニオ猪木が日本のプロレスを「永遠に」変えたと序文で記している。当時は既存のプロレス人気が長期間低迷し、それに代わり総合格闘技が隆盛を迎えていた時期。そこに至る萌芽が1976年にあるとした。しかしその後、総合格闘技は早々に下火になり、逆にプロレス人気(というか新日本プロレス人気)が超V字回復する。

そのプロレス人気の復活に「1976年のアントニオ猪木」がもたらした影響はあるのか?その答えは、無いということでしょう。逆に長らく日本のプロレスを呪縛していた1976年のアントニオ猪木からの脱皮が現在のプロレス人気、特にそれを牽引する新日本プロレス人気を生んだ。アントニオ猪木が標榜したストロングスタイル、キング・オブ・スポーツの幻影からの脱皮。私はそう考えます。となると猪木の盟友ムハマド・アリ氏の死去はなお感慨深くなる。

プロレスはファンタジー。余白の無いリアルよりファンタジーに魅力がある。しかし、私は思うのです。ファンタジー一辺倒では現在のプロレス人気は長続きしません。ファンタジーがリアルを超えようとすること。それこそが日本のプロレス(=1976年のアントニオ猪木)だった。かつてUFC-JAPANヘビー級トーナメントを制した桜庭和志がリング上で叫んで万雷の拍手を浴びた言葉。

 「プロレスラーは本当は強いんです!」

これこそが日本のプロレスファンが待ち望んでいる言葉でしょ。


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